採石場を舞台にして、「地域との環のなかで生まれる、人と人、人と自然の対話」を基本的なテーマとして開催される大蔵山ならではのできごと、ワークキャンプではいわゆる「彫刻シンポジウム」的手法をとりながら、大蔵山を単なる採石場跡地から「自然と人間の共生を模索する場」へと、その質を能動的に変えていきました。30年前、オーストリアの石切場で生まれた「彫刻シンポジウム形式」は時代を経てさまざまに変質し、今日に至っています。奇しくも大蔵山という石切場を会場にしたワークキャンプでは、彫刻家たちによる公開共同制作という手法をもちい、山の緑化や、地域とのかかわりあいを考えあわせた山を主体にした造形物を配置してきました。一旦は破壊された採石場の緑化復元という課題に対して、ワークキャンプという創作的意味合いを持たせた作業は、採石場の跡地整備という負の作業を前向きは行為に転換させる一つの実験です。しかも、人々の創造力をおおいに刺激するであろうさまざまな要素を盛り込まれておこなわれます。この山で計画された100年単位の遠大な「創作的作業」が、その過程のおいて、大蔵山を訪れ、その場に触れた人々の感性にどれだけ響き、現代に生きる人々に見失われがちな精神性にどれだけ作用するかというテーマは、大蔵山での活動の基本理念になっています。
1992年8月2日〜8月23日
1990年、大蔵山から自分たちが考えるメッセージを発信するシンボルとして設置された「いし舞台」の機能をさらに充実させるために「座るかたち」をテーマに6名の若手作家による観客席がワークキャンプの作業によって作られました。これにより山での表現活動の幅も広がり、洋舞団体からの問い合わせもいただいています。
明地信之 井上京太 小野寺典子 菅野泰史 花淵一明 坂井央也