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ミレニアムプラン

1.はじめに

恵みを与え続けてくれた山に対して、今なにができるのか。利己的にならず、どうやって自然と共生(co.existence)していくのか。大蔵山工房の活動が10年を経て、2000年を迎えた今、山の恵みを受け取りながら、それに精一杯恩返しをしつつ、山も人も いっしょにに生気を回復する(re.vitalize)、これは、そんな豊かなくらしを目指すプランである。


2.基本理念

山の緑化

山が荒れた、さあ植林だ。しかし、そうやって人工的に緑になった山は、どこかしら不自然にも見える。では放っておいて、自然が自ら回復するのに、ひたすら任せれば良いのだろうか?どうやらそうではないらしい。例えば伸びすぎた枝を落とし、太陽光が30%は地表まで届いた方が、森は自らの成長を加速するということが、既に確認されている。
つまり、動物や人が入り、最低限の手を加えた方が、山や森は活性化するのだ。山と人との共生の可能性はある!
もっと山について知ろう。そして、今できることを私たちのやり方でもっと進めよう。

共生の知恵継承
高度経済成長期以前の人々は、自然信仰をはじめ、今よりずっとうまく自然と共に暮らしてきていた。その豊かな知恵の多くが、自然以外のものに価値を置いてきた戦後から今までの間に、途絶えてしまったと言える。自然との共生の方法を探ろうというとき、頭で考える知識だけではなく、体で行動してきた昔の知恵を知らない理由はない。
昔の本を読んだりしてその知恵を吸収するのではなく、リアルタイムで知恵を使ってきた人々に、直接習い、一緒に実践することで、再発見していきたい。今ならまだそれが出来る。そして知恵を体得し、現代の山の新たなる活用法を考え、次代に継承させていこう。

芸術と、芸術の自然との融合
伊達冠石を産む石山であるということが、この大蔵山の、他にない最大の魅力であろう。原石そのものが訴えかけてくるものを基軸に、彫刻、建築、音楽、絵画、文学等の様々な芸術を発展させていこう。
芸術といっても、難しいものではない。上記の自然との共生についてやその他の、普段あまり深く思う機会がないかもしれないが、とても大事な何かを、改めて見つめ、感じる場を、くらしの中にもっと持とう、というようなことだ。
また、実際に自然風景に融合する形をとった芸術、という意図もある。芸術のための芸術ではなく、自然やくらしの中に溶け込む、親密で場の雰囲気を高めるものを目指す。

社会への発信
環境破壊や、自然との共生に心の中で問題意識を感じて、行動している、またはまだ行動を起こしていない多くの人々に、大蔵山工房の存在を知ってもらい、共に道を模索する。


3.今回特に注意する点

このプランは自然発生的なもの、息の長い活動をとりわけ大事にしているために、一見分かりにくいやり方 と見えるかもしれない。しかし逆に、新しい可能性のある形態といえないだろうか?

組織化しない
活動を組織化したり、どこかに組み込まれたりと、体制を組むことをしない。
体制化によって生まれる、指令する側と構成員という構図を逃れ、ひとり一人が自立して大蔵山の行く先を考える。ただし、自然発生的なものは構わない。

ボランティアという言葉を使わない
やってあげている、という自己満足的なものや、その場限りで息が短い、といったボランティアという言葉にまつわるマイナスの側面を排除するために、この言葉を使わない。
ボランティアではなく、山からの有形、無形の贈り物という報酬を、楽しく受け取る。

公園化しない
彫刻公園や資金を投じた森林公園として開発すれば、多くの人に大蔵山を知ってはもらえるかもしれないが、ゴミ問題等、逆に自然を傷める可能性も同時に出てくる。
よってここでは、森本来のあり方を大切に、あくまで雑木林として活用すること選ぶ。


4.大蔵山工房の10年間の活動を経た山の現状

高度経済成長期に特に石の掘り出しが優先され、山は荒廃をみせた。1990年から10年間に、採石場の整理、跡地の埋め返し、跡地の一部牧草地化、伊達冠石加工工場とテントの建設、工房事務所・台所・茅葺き便所・ 「山堂サロン」の建設、オープンアトリエ的な創作の場を提供することによる彫刻作家の受け入れ、彫刻作品「いし舞台」「時の道」の制作設置、文化交流会を含む3回のワークキャンプ、演奏会、星を観る会、植生調査を兼ねた山の観察会、草木染めや紙すきのワークショップ、畑実習等が、大蔵山において実施された。


5.プラン全体構想・・・“50ヘクタールの山のデザイン”
大蔵山は、大きく次の4つに分類できる。それぞれについてのプランを立てる。

採石場
採石予定地の確保(3ヶ所)。石舞台上、緑水の池付近、現在の試掘坑。
原石の展示スペースを設置。
採石場周辺に集積した石を、種類、大きさ、割られたもの等表情の違いによって整理する。
原石が集積していることそのものの印象深さに注目し、そこから導けるものを模索する。
古い墓石の集積は埋め戻し、石碑供養塔(お墓のお墓)として五輪塔を制作、設置する。
採石場への直線の導線をやめ、直接でなくゆっくりと採石場が見えてくるようにする。
採石場入り口の具体的な修景。
白石側と蔵王山脈を同時に眺望できる、採石場手前の広場の活用。

伊達冠石加工工場「森の工場」
加工された製品の展示スペースを設置。記念碑は、横積みでなく建てた形で展示する。
工場サイン(道案内板)4ヶ所設置。
工場内便所

大蔵山工房のエリア
山堂サロンの完成。

採石場跡地、雑木林
緑化計画と、山を活用する里山計画に大きく関わるゾーン。


6.緑化・里山プランの組成

(1)調査計画

統計、資料、聞き込み、現地調査により、山に関わる客観的な知識を深める。
環境調査 ・社会環境(地理、人口、産業、交通等)
      ・歴史環境(集落の生い立ち、石の使われ方、田畑の様相等)
      ・自然環境(地質、植生、気候等)
森林調査 ・森林施業の変遷(国や県が行ってきた政策を知る。マクロ的視点)
      ・森林組成表の作成(直径10メートル四方の、組成が違うと思われる8点にお       いて、10cm以上の木の種類を、約1ヶ月毎に調査・記録する。)
      ・林相図(山を大きく捉えた地図)の作成

(2)整備計画
ゾーニング(調査結果を元に、エリアをゾーニング。)
 ランキング(手を加える度合いによりランキング。先ずは人のいる所から。)
萌芽更新(外から来た新しい種が成長するように、下草刈り、枝打ち、伐採、落ち葉拾い等、手を加える。森の積極的な管理。)
植林計画(目的を決めて、無理なく慎重に。)

(3)活用計画
人が入れることを大前提に、段階的に進める。
個人が出来ること ・キノコ狩り、山菜取り
          ・散歩、森林浴、バードウォッチング
          ・観察、教育、遠足、虫取り
          ・草木染め、芸術作品制作
みんなで出来ること・彫刻展
          ・音楽会、演劇、ダンス、落ち葉拾いコンサート
          ・切り株サロン
          ・自然の中での昔の知恵の実践、継承


7.実施プログラム

基本プランの策定


おわりに
息が長く、無理のない、そして創造性あふれる活動を、ここで一層推し進め、同時に社会に向けて発信し、共に模索を続けていきたい。


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